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地方で勤務する意向について

 医師の偏在は、以前から議論されている。本調査では、今後地方にて勤務する意思があるかどうかをまず尋ねた。調査票の設計において、その表現に苦慮した。まず、そのことを紹介する。「医療過疎地域」という言葉は一般に使われてはいるものの、各医師が想像する地域はさまざまであることが想定されたため、別の言葉を用いることとした。調査班において議論した結果、「東京都23 区及び政令指定都市、県庁所在地等の都市部以外」と指定することにした。賛否両論あるかと想像するが、回答者への設問の示す意味を統一化するために考え抜いた結果である。

 東京都23区及び政令指定都市、県庁所在地等の都市部以外の地域において今後勤務する意思があるかどうかを尋ねた設問についての結果を、図WP1に示した。


図WP1:地方にて今後勤務する意思があるか否か

結果、44%の医師が今後地方にて勤務する意思があるという結果を得た。ここで、現在、「東京都23区及び政令指定都市、県庁所在地等の都市部以外」の地域において勤務されている医師が問題となるが、データとしては、現在、都市部(東京都23区及び政令指定都市、県庁所在地等の都市部)にて勤務している医師に限っても、今後地方において勤務の意思がある医師は40%以上になる。従って、かなりの割合の医師が地方において勤務する意思を有していることが分かる。

 次に、50代以下の常勤勤務医に解析を絞り、地方勤務の意向を尋ねた結果を図WP2に示す。地方勤務の意向ありの場合には、地方において勤務する期間の希望を

  • 半年
  • 1年
  • 2〜4年
  • 5〜9年
  • 10年以上

から選んで頂いた。その結果も合わせて図WP2に示されている。


図WP2:地方勤務意思の有無と勤務する年数の意向(50代以下勤務医)

50代以下の常勤勤務医に絞った場合、地方勤務の意向を有する医師の割合は50%を超える。また、その希望する期間は、半年や1年といった短期の希望は極めて少なく、10年以上が「意向あり」のなかでは一番多く、次に2〜4年、三番目に5〜9年という順である。すなわち、短期での地方勤務を希望する医師は少なく、中長期での勤務を希望する医師が多いことが分かる。

 最後に、この地方勤務期間の意向について、年代別に集計した結果を図WP3に示す。20代の勤務医のうち、60%が地方で勤務する意思があると回答しており、2~4年間を希望する割合が多い。しかし、30代以上は10年以上を希望する割合が高くなることが分かる。すなわち、若手医師は2から4年という中期の希望を持ち、年齢を重ねるに従い中〜長期の意向が多くなる。


図WP3:地方で勤務する期間の意向(勤務医、年代別)