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医師のトランジション解析

 出身地、出身医学部の所在県別に医師の居住地について年代と共にどのように変化するか、トランジションを追った。その解析結果を図Tr1に示した。一番左の列が出身県、左から二番目の列は出身医学部の所在県である。

 例えば、「東京・大阪・神奈川」出身の医師で、「東京・大阪・神奈川」にある医学部で教育を受けた医師は1,889人であり、「東京・大阪・神奈川」出身医師の52.6%を占める。また、「東京・大阪・神奈川」出身の医師で、「政令指定都市がある県」の医学部で教育を受けた医師は、555名で15.5%、「その他地方」の医学部で教育を受けた医師は、1,145名で31.9%である。

 出身地、卒業医学部所在地毎に医師の現在の居住地を年代別に示したのが右側のデータとなる。これは、本来は、一人一人の医師について居住地情報を時系列に追っていくことにより得られる情報であるが、本調査のように多数の医師を調査することにより、医師のトランジションを推定していることになる。すると、「東京・大阪・神奈川」出身、「東京・大阪・神奈川」の医学部卒の医師は、やはり「東京・大阪・神奈川」に住んでいることが多い(全世代で80%強)。「政令指定都市がある県」や「その他地方」は少ないが、同程度である。

 全体的な傾向として、現在の居住地は、医学部の所在県が比較的大きな影響を示している。また、「その他地方」出身、「東京・大阪・神奈川」の医学部卒の医師は、年齢を重ねるに従い地元に戻る傾向も見て取れる。


図Tr1:出身地、出身医学部別の居住地トランジション