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家事・育児負担のジェンダー・バイアス

 図GB1は、常勤医師について、性別世代別に勤務時間分布を示した結果である。男性常勤医師では、20代から40代まで50時間以上60時間未満にピークがあるものの、年代が上がるに従い長時間勤務の医師は少なくなっていく。また、ピークは、50代で下がるが全体の傾向は変わらず、60代になると勤務時間が短くなるという結果であった。  一方、女性常勤医師では、20代に比べ30代でピークが左にシフトし、30代から50代まで同様な勤務状態が続く。60代になり勤務時間が短くなるという2段階の変化が見られた。これは、30代で出産、育児というイベントがあり勤務時間が短くなっていると言うことが後の解析結果からも推察される。


図GB1:性別世代別勤務時間分布(常勤医師)

 勤務時間と家族構成とはどのように関係するであろうか?その解析結果を図GB2として示した。男女別に

  • 未婚(緑)
  • 既婚、子供なし(青)
  • 既婚、子供あり(赤)
にわけて勤務時間分布を示した。まず、女性常勤医師から勤務時間分布を見ていく。未婚の女性常勤医師に比べ、既婚、子供なしの女性常勤医師は、勤務時間が短い。さらに子供が産まれると勤務時間は短くなる。段階的に勤務時間が短くなっていく様子が見て取れる。しかしながら、男性常勤医師は異なる勤務時間分布の推移を示す。男性常勤医師は、結婚すると勤務時間が短くなる。これは女性常勤医師と同じである。しかし、子供が産まれると勤務時間が長くなる。子育てや就労に関するジェンダー・バイアスが本調査のデータに表れていると考えられる。


図GB2:常勤医師の家族構成と勤務時間分布との関係