育児中の働き方
図CC1は、育児を経験した医師(男性、女性)に育児中に希望していた働き方と実際の働き方について調査した結果である。男女別に希望していた働き方と実際の働き方を集計している。男性が左、女性が右、上が理想、下が実際となる。複数回答で問うているため、合計は100%とはならない。男性医師は、未就学児の育児中、子育て前と同じ働き方を希望する割合が最も多く、実際に子育て前と同じ働き方をしている割合は約8割であった。「時間短縮勤務」や「業務内容の軽減」も希望する男性医師は20%程度いたにも関わらず、実際にはそのような働き方は出来なかった(もしくは、しなかった)という結果であった。 一方、女性医師は、「時間短縮勤務」「勤務日数減」「業務内容軽減」を希望する割合が多い結果となった。希望する働き方の段階でジェンダー・バイアスが見て取れる。また、現在常勤医師の1割は「休職・離職」を経験しており、現在、非常勤の女性医師になると、その4分の1が「休職・離職」を経験しているという結果であった。
図CC1:育児中の働き方の理想と実態
それでは、育児中の働き方は、女性医師のその後の勤務にどのような影響を与えたであろうか?我々は、育児中の働き方と専門医取得の有無について関連を調べた。その結果を図CC2に示す。最も専門医の取得率が高かったのは、育児中に研究生や大学院生となった医師であった(82.7%)。一方、最も専門医取得率が低かったのは、離職・休職をした医師であった(61.0%)。その差は20%にものぼり、休職・離職された女性医師と、休職・離職は選ばなかった(他の働き方をした)女性医師とでは、専門医取得に有意な差(p-値 2.61x10^(-6))が見られた。育児中の働き方が女性医師のその後のキャリア形成にも影響を与えていると言えよう。
図CC2:育児中の働き方とキャリア形成との関係